Vol. 03

特集「登録5周年 縄文世界遺産」

縄文デザインは、エモくて新しい(前編) / 縄文遺跡はアートの宝庫

2026.07.24

現代の私たちの感性を刺激する、縄文時代のクリエイティビティ。知るほどに奥深い縄文遺跡を、教科書の中の歴史としてではなく、普遍的な造形美を誇る「アートプロダクト」としてとらえ直してみませんか。エモく、モダンで奥深い縄文デザインの世界へ――。

2026年は「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録5周年という節目の年。縄文遺跡のアートとしての魅力に触れてみましょう。

国宝中空土偶カックウに一目ぼれ

函館市で出土した国宝中空土偶、愛称「茅空(カックウ)」。初めてその姿を目にすると、その洗練されたフォルムに驚くはずです。

すらりと伸びた足、直線と曲線で描かれた複雑な幾何学文様。どこかユーモラスで愛らしい表情。縄文時代後期後半(約3,300年前)の作品とは思えないほどモダンで、現代のアートフィギュアのような佇まいを放っています。カックウの魅力は、貴重な歴史資料としての枠を超えた圧倒的な造形センスにあります。

特に注目したいのは「中空構造」です。カックウは、粘土ひもを輪にして積み重ねるという極めて緻密な手法で作られています。

壊れないよう指で押さえつけた箇所がある一方で、文様帯の区切りや関節など、あえて粘土ひもを重ねただけで「美しく壊れる」ことを計算したかのような繊細な設計も見られます。高度な技術と同時に、縄文人の研ぎ澄まされた美意識が浮かび上がります。

なぜ縄文人は、わざわざ壊れるように土偶を作ったのでしょうか。それは、土偶が「壊され続ける」ことに意味があったからです。壊すことは死を意味すると同時に、新たな生の始まり。月が満ちては欠け、季節が巡るように、命もまた絶え間なく循環し再生する――。自然の姿と向き合う中で縄文の人々は、巡りゆくものに対する独自の感性を磨き上げたと考えられています。

北の縄文のシンボルであるカックウの魅力をひもとくと、その一つひとつに、縄文人の自然観や深い精神性をうかがい知ることができます。

北海道・北東北の縄文遺跡群って?

北海道、青森県、岩手県、秋田県にまたがる「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、豊かな自然の恵みを受けながら、1 万年以上にわたって採集・漁労・狩猟によって定住した縄文時代の人々の生活と精神文化をいまに伝える貴重な文化遺産です。

その価値が認められ、2021年7 月27 日、北海道・北東北の縄文遺跡群は、世界遺産に登録されました。

遺跡群を構成する道内の遺跡は、垣ノ島遺跡(函館市)、北黄金遺跡(伊達市)、大船遺跡(函館市)、入江貝塚(洞爺湖町)、キウス周堤墓群(千歳市)、高砂貝塚(洞爺湖町)の6つです。また、関連する遺跡(関連資産)として、鷲ノ木遺跡(森町)があります。

地図:ユネスコ世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」

詳しくは、下記のサイトをご覧ください。

「登録5周年 縄文世界遺産」ウェブサイトリンク(北海道縄文世界遺産推進室)

未来へつづく、ー万年ストリー。北の縄文

目に見えない価値を
感じ取ることができます

縄文文化の価値は、荘厳な建造物とは違い、目に見えるものではなく、心で感じるものです。画家のパウル・クレーが「芸術とは見えないものを見えるようにすること」言っていますが、私はそこにアートの可能性があると思います。

現代人にとっての縄文も、縄文の人々が自然との関係性の中で形にした「目に見えない価値」を感じ取る手段といえます。表現の背後にある高い精神性や技術力、身体知のすばらしさをきっと感じてもらえると思います。

阿部 千春

北海道縄文世界遺産推進室
特別研究員

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TERU(GLAY)さん

TERU(GLAY)さん

函館市出身のロックバンド・GLAYのボーカリスト。圧倒的な歌唱力と温かな人間性で支持を集める。音楽活動の傍ら、アート制作や故郷・北海道の活性化にも尽力し、独自の感性で地域の魅力を発信する表現者としても注目される。

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